160Whのモバイルバッテリーとは?使える容量をわかりやすく整理

モバイルバッテリーに書かれている「160Wh(ワットアワー)」という数字。これは**電力量(1時間あたりに使えるエネルギー量)**を表しており、バッテリーの容量を示す単位です。
160Whとは?—WhとmAhのちがいをサクッと解説
Wh(ワットアワー)は「電力量」、mAh(ミリアンペアアワー)」は「電気の量」を表す単位です。ざっくり言うと、Whは“どれくらい使えるか”を示す数字で、mAhは“どれくらい蓄えられているか”を示します。
もう少し詳しく言うと、Whは電圧(V)と電流(A)の掛け算で求められ、バッテリーの「総エネルギー量」を意味します。mAhは主に電流量を示すため、同じmAhでも電圧が異なればWhも変化します。そのため、電圧の違いを考慮した正確な容量を知りたいときはWh表記がより信頼性が高いのです。
また、近年の大容量モバイルバッテリーは、PD(Power Delivery)対応のUSB-Cポートを備えているものも多く、Whの数値が高いほど充電スピードや電力供給能力も向上します。ただし、容量が大きいほどサイズや重量も増すため、用途に合わせた選び方が重要です。
一般的なスマホ用モバイルバッテリーは10,000mAh前後(約37Wh)で、これは1回〜2回のスマホ充電が可能な程度です。つまり160Whは、その約4倍以上の大容量であり、ノートPCやタブレットなど複数デバイスを同時に充電できる実用的な上限値といえます。
160Whでどのくらい使える?—スマホやノートPCの充電目安
- スマホ:約5〜6回分のフル充電(iPhoneやAndroidの標準機種)
- ノートパソコン:約1〜2回分(USB-C PD対応モデル)
- タブレット:約3回分(動画再生などを考慮)
- ワイヤレスイヤホン:約30回以上
このくらいの容量があれば、旅行や出張、防災用途でも安心。数日間コンセントが使えない状況でも頼りになります。
シーン別おすすめ容量(10,000/20,000/40,000mAh比較)
| シーン | 容量の目安 | Wh換算 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 日常持ち歩き | 約10,000mAh | 約37Wh | 軽くてコンパクト、普段使いに◎ |
| 出張・旅行 | 約20,000mAh | 約74Wh | 飛行機OK、PC充電も可能。USB-C PD対応モデルが便利 |
| 防災・キャンプ | 約40,000mAh | 約148Wh | 長期使用に最適。160Wh以下なら持ち込み可 |
160Whは何mAh?換算の仕方と実際の計算例

WhをmAhに変換する基本式と計算例
計算式はこちらです:
mAh = (Wh × 1000) ÷ 電圧(V)
この式は、バッテリーがどれくらいの電流をどれくらいの時間流せるかを表す指標として使われます。電圧(V)の値を考慮することで、より現実的な電力量を求めることができるのです。たとえば160Wh・3.7Vのバッテリーなら、
160 × 1000 ÷ 3.7 = 約43,000mAh になります。つまり「160Wh ≒ 43,000mAh」と覚えておくと便利です。
もう少し踏み込むと、この換算式は電力量(Wh)を電流容量(mAh)に変換する汎用式であり、異なる電圧設計のデバイスでも共通で使えることが特徴です。モバイルバッテリーやノートPCのバッテリーパックなど、内部セルの電圧が異なる場合は、この計算で相互比較がしやすくなります。
また、バッテリー仕様によっては公称電圧が3.6Vまたは3.8Vとなっていることもあり、その場合の結果は多少前後します。実際には約41,000mAh〜44,000mAh前後が160Whクラスの標準的な容量です。製品カタログや裏面表示でmAh値しかない場合は、電圧を3.7Vとしておおよそを判断すればOKです。
この計算を知っておくと、「100Whって何mAh?」「飛行機OKなの?」という疑問にもすぐに答えられるようになります。
mAhからWhに直す方法
逆にmAhをWhにしたいときは、
Wh = (mAh × 電圧) ÷ 1000
この式を使うと、容量表記がmAhのみのモバイルバッテリーでも、航空会社の持ち込み条件を簡単に確認できます。たとえば20,000mAh・3.7Vなら、20,000 × 3.7 ÷ 1000 = 約74Wh です。つまり100Wh以下の制限内であれば、ほとんどの航空会社で問題なく機内持ち込みが可能です。
もう少し現実的な例を挙げると、PC対応のモバイルバッテリー(30,000mAh・3.7V)は、約111Whになります。つまりこの容量ならまだ160Wh未満のため飛行機OKです。
160Whを超えるとどうなる?—航空ルールに注意!
160Whを超えると、飛行機への持ち込みができなくなることがあります。特に海外旅行では、100Wh〜160WhまでOK、160Wh超は原則NGという国際基準があるため注意が必要です。さらに一部航空会社では、100Whを超えるバッテリーは事前申告が必要であったり、数量制限(2個まで)を設けているケースもあります。旅行前には必ず航空会社のサイトで最新情報を確認しましょう。
160Whを超えると、飛行機への持ち込みができなくなることがあります。特に海外旅行では、100Wh〜160WhまでOK、160Wh超は原則NGという国際基準があるため注意が必要です。
160Whモバイルバッテリーは飛行機に持ち込める?

国際ルールと国交省の最新基準
国際航空運送協会(IATA)および日本の国土交通省では、モバイルバッテリーの機内持ち込みについて明確な安全基準を設けています。これらのルールは、リチウムイオン電池による発火や過熱事故を防ぐために制定され、世界各国の航空会社で共通して採用されています。
以下の通り、容量によって取り扱い条件が異なります。
- 100Wh以下:制限なしで持ち込みOK。申告の必要もなく、スマホ用の一般的なモバイルバッテリーはこの範囲に含まれます。
- 100〜160Wh:1人2個まで持ち込みOK。ただし申告が必要で、航空会社によっては事前の許可申請を求められる場合があります。ノートPCや大型デバイス用バッテリーはこのクラスに分類されます。
- 160Wh超:持ち込み・預け入れ不可。機内だけでなく、受託手荷物としても禁止されており、宅配便などでも航空輸送できない場合があります。
加えて、IATAでは外部端子の絶縁処理を求めており、テープで端子を覆う、専用カバーを使用するなどの対策が必要です。国土交通省のガイドラインでも同様に「ショート防止措置」「PSEマーク確認」を義務付けています。
国内線・国際線での違い
JALやANAなどの国内線では、IATAの基準をそのまま採用しているため、基本ルールは共通です。ただし国際線の場合、各航空会社のポリシーによって持ち込み個数の上限や事前申請の有無が異なるケースがあります。たとえばANAは160Wh以下なら2個までOKですが、海外の一部航空会社では「100Wh以下のみ無制限」「101〜160Whは要承認」と細かく指定されています。渡航前には必ず利用航空会社の公式サイトで最新情報をチェックしましょう。
預け入れNGの理由と安全対策
リチウムイオン電池は衝撃や高温環境に弱く、万が一のショートで高温発火する可能性があります。そのため、預け荷物ではなく手荷物として持ち込みが原則ルール。手荷物であれば客室乗務員がすぐに異常に対応できるため、安全性が格段に高まります。また、航空会社によってはモバイルバッテリーを「電源オフ・端子保護した状態」で運搬するよう求められています。
さらに安全を確保するために、次の点も押さえておきましょう。
- 持ち込み前に残量を50%以下にしておくと安全性が高い
- 端子部分を金属と接触しないようテープで保護する
- 燃えやすい素材のポーチや布袋ではなく、耐熱素材ケースに入れる
機内持ち込みのチェックリスト
- ✅ WhまたはmAhの表示が明確にあること(印字・ラベルなど)
- ✅ PSEマークがついていること(日本国内で販売されるものは必須)
- ✅ 160Wh以下であること(100〜160Whは申告が必要)
- ✅ 端子カバーや絶縁テープでショート防止がされていること
- ✅ 残量が満充電でないこと(50〜80%が理想)
160Wh以下で飛行機に持ち込めるおすすめモバイルバッテリー

ここからは、実際に160Wh以下で持ち込みOKな人気モデルを紹介します。
🔋10,000mAhクラス:軽くて普段使いに◎
スマホ2〜3回分の充電ができる定番サイズ。軽量&薄型で通勤や外出時におすすめです。持ち運びやすさに加えて、デザイン面でもスタイリッシュな製品が多く、ポーチやバッグにスッと入るコンパクトさが魅力です。最近では、ワイヤレス充電対応やデジタル残量表示など、便利機能を備えたモデルも増えています。特に出先でのスマホ・イヤホン・タブレットの同時充電に対応している製品を選ぶと、利便性が格段にアップします。
⚡20,000mAhクラス:出張・旅行にちょうどいい
ノートPCの充電もできる大容量タイプ。USB-C PD対応モデルが便利です。1回の充電でスマホを複数回満たせるため、長距離移動や出張先での作業にも最適です。サイズはやや大きめですが、出力ポートが2〜3口ある製品を選べば、スマホ+ノートPC+モバイルルーターなど同時充電が可能。PD65W対応モデルならMacBook Airクラスも余裕で充電できます。
🏕️40,000mAh未満クラス:キャンプ・防災に
160Whギリギリの大容量。長期滞在や災害時の備えにぴったりです。電源が確保できないアウトドアシーンや停電時でも安心の電力を供給できます。ソーラーパネル充電に対応するモデルもあり、エコかつ実用的。防災リュックに入れておくと心強い存在です。また、USB出力に加えてAC出力(100V)対応のポータブル電源型を選ぶと、扇風機や小型家電も使えます。
- BLUETTI EB3A(268Wh)→ ✖ 飛行機NG
- Suaoki S270(150Wh)→ ✈ 飛行機OK!
- EcoFlow RIVER mini(210Wh)→ ✖ 飛行機NG
| クラス | 容量(mAh) | Wh | 機内持ち込み | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 小型 | 10,000 | 約37Wh | 〇 | 軽量・普段使い |
| 中型 | 20,000 | 約74Wh | 〇 | 旅行・出張向け |
| 大型 | 40,000 | 約148Wh | 〇 | 防災・長期使用 |
モバイルバッテリー選びと安全使用のポイント

✅購入前に確認すべき「Wh表記」と「PSEマーク」
PSEマークは電気用品安全法を満たしている証であり、日本国内で販売される電気製品には必ず表示が義務付けられています。モバイルバッテリーも例外ではなく、PSEマークがない製品は安全検査を通過していない可能性があり、発火や過充電のリスクが高まります。とくに海外通販サイトなどで安価に販売されているものの中には、PSEマークを偽装しているケースもあるため注意が必要です。
さらに、飛行機に持ち込む場合は、PSEマーク+Wh表記が明確に記載されていることが必須条件です。Wh表記がないと航空会社のチェック時にトラブルになることがあり、搭乗を断られる例もあります。購入前に製品ラベルや取扱説明書を確認し、PSE認証番号やメーカー名が明示されているかをチェックしましょう。
⚠️劣化・発火を防ぐ正しい充電方法
モバイルバッテリーは使い方次第で寿命が大きく変わります。長く安全に使うためには以下のポイントを守りましょう。
- 高温の車内や直射日光の当たる場所に放置しない(内部温度が60℃を超えると危険)
- 満充電状態で長期間放置しない(バッテリー劣化の原因に)
- 放電しっぱなしを避け、残量30〜70%で保管するのが理想
- 純正ケーブルを使用し、過電流防止機能のある充電器を使う
- 水分や湿気の多い場所での使用は避ける
このような基本を守るだけで、発火・膨張・劣化のリスクを大幅に減らすことができます。
📋購入時に見るべきスペックチェックリスト
製品スペックを確認する際は、次の項目を見落とさないようにしましょう。
- 出力ポート数(USB-A/USB-C)と最大出力(W)
- 対応規格(PD/Quick Chargeなど)
- 重量とサイズ(持ち歩きやすさ重視か据え置きか)
- 安全保護機能(過電流・過熱・過放電・短絡保護など)
- メーカー保証の有無とサポート体制
これらを事前に確認しておけば、用途に合った最適な製品を選ぶことができます。
🔎長く使えるモバイルバッテリーの選び方
「価格」よりも「安全性」を優先しましょう。信頼できるメーカー(Anker、CIO、RAVPowerなど)を選ぶと安心です。加えて、**セルの品質(リチウムイオン or リン酸鉄リチウム)**や、出力ポートの耐久性にも注目すると良いでしょう。口コミやレビューで長期使用後の評価をチェックしておくのもおすすめです。
まとめ|160Whは飛行機に持ち込める“ちょうどいい上限容量”
160Whは、飛行機に持ち込める上限ギリギリの容量でありながら、スマホ・PC・防災用としてバランスの取れた万能サイズです。この容量クラスは「持ち運びやすさ」と「電力の安心感」のちょうど中間に位置し、1泊2日の旅行から長期出張、防災備蓄まで幅広く対応できるのが最大の魅力です。
たとえばスマホの充電なら5〜6回分、ノートPCなら1〜2回、タブレットや小型家電も余裕で動かせるパワーを備えています。さらに、近年主流のUSB-C PD規格に対応している製品を選べば、より高速な充電が可能になり、時間効率も抜群です。
また、160Wh以下というラインは航空機持ち込みの上限でもあるため、海外出張や飛行機移動の多い人にとっては理想的。100Wh以下では物足りない、けれど160Whを超えると持ち込み不可になる――そんな“ちょうどいい安心ゾーン”がこの容量なのです。
さらに、家庭での停電対策やキャンプでの電源確保にも最適。スマホやライトはもちろん、USB扇風機やミニ冷蔵庫、Wi-Fiルーターなどを同時に稼働させることも可能です。非常時においても、家族の通信や情報収集を支える大切なライフラインになります。
- 🔋スマホ5〜6回、ノートPC1〜2回分の充電が可能
- ✈️160Whは飛行機OKの上限ラインで安心
- 🏕️旅行・出張・防災まで使えるオールラウンド容量
- 💡USB-C PDやソーラーチャージ対応モデルなら、用途がさらに広がる
最後に、購入時は必ず「Wh表記」「PSEマーク」「メーカー保証」をチェックして、安全に長く使いましょう。信頼できるメーカーを選び、正しい使い方を続けることで、160Whクラスのモバイルバッテリーはあなたの毎日を確実に支えてくれます。

